拡大する安全保障の概念
2月12日に、愛知国際プラザで開催された「気候変動が世界の安全保障を脅かす」というセミナーを聞きに行った。
講師は、アメリカのワシントンD,Cから来たSarah Ladislawさんという専門家であった。彼女は、CSIS(戦略・国際問題研究所)エネルギーと安全保障プログラム フェローである。
講義は同時通訳つきで行われたが、私は、1時間の内50分までを英語のままで聴いてみた。下書きを殆ど見ないで話したので感心した。
気候変動による直接の影響は、暴風雨、旱魃、降雪雹、気温上昇、海水温度の変化などがある。
それによる間接的なものとしては、洪水、砂漠化、山火事、雪害、海流の変化、家屋などの破壊、農作物への影響、氷河の解凍、ヒマラヤなどの高山の変化、住居地の冠水、魚類や海草や珊瑚などの異変、マラリアやデング熱等さまざまなものがある。
更にそれに伴って、食糧危機、水不足、病気の蔓延、環境難民の発生、エネルギー問題、経済、社会、政治問題、地域や民族や国家間の紛争等さまざまな問題が引き起こされてくる。
安全保障というと、以前は国防などの狭義のものを指していたが、今や気候の変動がら発して、広範囲の問題での安全保障を考えなければならなくなったということである。
こうした問題にどう対処して行ったらいいのかを考えることが大切であるが、これは急がなくてはならない問題でもあり、各国の協力が必要でもある。
アメリカはブッシュの時には京都議定書にそっぽを向いてきたが、オバマ大統領になって環境・エネルギー問題に積極的に取り組もうという姿勢に変わった。経済政策と結んでやろうとしている。
司会の小野川和延国際連合地域開発センター所長は、冷戦が終わったと時を同じくして環境問題と発展途上国問題が発生したと指摘した。
私の記憶では、10年ぐらい前までは、気候変動と洪水や豪雨や氷河が溶ける問題などについては科学者の間でも関連性については議論が分かれていた。それが今やっと喫緊の問題として共通の認識となってきたようだ。
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08年1月12日のblogを読みに行ってきました。
今回の金融・経済恐慌が誰も予測できず、一気に拡大しました。それと同じように気候変動による地球の危機もジュリアーノ氏が予言するように一気にくるのかも知れません。こちらの方は、公的資金を使ってもとき既に遅しとなるでしょう。
投稿: らら | 2009年2月16日 (月) 10時25分
山を治め水を治る者は国を治めると言い治山治水はとても重要なことでした。現在は温暖化が地球環境を左右する重要な課題で20年程前から言われてきましたが、実際には対応が世界的に遅れています。
私はブログで何度か書いていますが、08年1月12日、温暖化問題と言うタイトルでも書いています。
山林の伐採などに対して行政のずさんさにも驚きます。保安林、防風林、砂防林などの伐採も見て見ぬふりをしている行政もあります。
投稿: maron | 2009年2月15日 (日) 16時49分