茂木健一郎訳「脳にいいことだけをやりなさい」から学ぶ ①
「脳にいいことだけをやりなさい」から学ぶ この紹介は何回かに分けて載せます この本は、マーシー・シャイモフ著 茂木健一郎訳、三笠書房出版です。まるで茂木氏が自分でか書いたような自然な読みやすい訳となっています。とてもいいことが書いてあるので紹介ずることにしました。文はできるだけ原文をそのまま使うことにしました。私の注には※を使ってあります。詳しく知りたい方は、上記の本を読んでください。 ※ 思えば、心の持ち方については、太古からいろいろな人が説いてきました。釈迦もその一人でした。釈迦はどうしたら心を平安に保てるかを弟子たちに説きました。 ずっと下がって江戸時代の終わり頃、貝原益軒は養生訓の中で、次のように書いています。 「心を静かにしてさはがしからず、いかりをおさへ、欲をすくなくして、つねに楽しんでうれへず、これ養生の術にて、心を守る道なり」 そのようなことが正しいかどうかは科学的にはわかっていませんでした。ところが、最近の科学の進歩によりそれが正しいことがわかってきたのだと言えます。 マーシーがいう幸せな気持ちも心の平安と同じことではないかと思います。H.S ※ 心の仕組みについては、現在の脳科学でもわからないことがたくさんあると言われていますが、マーシーは私たちの心の持ちようについて、脳の働きと関連付けて話しています。脳の働きについてわかり始めたのは1990年代以降だと思います。MRIを始めいろいろな検査機器の発達により、また、脳外科の進歩により脳について多くのことがわかってきました。マーシーはそれらを調べてこの本を書いたのだ思われます。H.S ※ これまで、「ポジティブに考え行動することが大事」であるといろいろな人が説いてきました。それを脳の働きと結んで説明してくれています。ポジティブな考え・行動をすることで、ネガティブな考え行動が弱まり、「幸せな心持ち」を持つことが出来ると言うのが、この本の中心です。つまり、「幸せな心(気持ち)で毎日生活しましょう!」と呼びかけているのです。それにはどうしたらよいかという幸せのレシピが書いてあるのです。それは、抽象的に心の持ち方を説いているのではなくて、脳科学や心理学に基づいて具体的に示されています。H.S 茂木さんは、「今の脳科学の立場から見ると、『幸せを感じるには、特別な豊かさなど必要ない』「『自分の脳がそれをどう評価するか』によって『幸せ度』は決まります。」と解説しています。 ポジティヴ心理学によると、それぞれの脳の中に設定された「幸せ度」があるとマーシーは言います。それはその人が日常的に感じている「幸せのレベル」のことです。意識的に変えようとしない限り、いつまでも同じ値に留まるということです。 そこで、幸せ度の数値が人によって決まっているならば、何をしたって同じではないか?ということになります。その点について、ミネソタ大学のデヴィット・リッケンが調査をした結果、「50%が後天的な要素」であるらしいことがわかりました。そのうち40%は「習慣的な考え方や気持ち、使う言葉や行動によって決まる」ということがわかってきたのです。 分子生物学者ブルース・リプトンの実験によると、DNAはその人の考え方によって影響を受け、個人の幸せ度を変えられる割合は50%以上だと言うことです。幸せ度を自分の考え方や行動によって変えられるということは嬉しいではありませんか。 研究や調査によると、幸せを感知するのは大脳の新皮質―-正確には左前頭葉前部で、幸せな人々はこの部分の活動が活発なのだそうです。一方で、不安や恐怖や憂鬱を感じている人は、右前頭葉前部皮質の活動が活発だということです。ネガティヴなもの(こと)は、ポジティヴなもの(こと)より、脳に強烈なインパクトを与えるのです。それは脳の中の「小脳扁桃」という部分が関係しているらしいのです。そこが、警戒心を司り、「闘争・逃走反応」を引き起こすのです。ここから信号が出ると心拍数が上昇し、アドレナリンやストレスホルモンが大量に放出されます。 ところで、心理学者で脳波の世界的権威ジェームス・ハルトは、「幸せな人の脳波は不幸せな人の脳波とは異なり、幸せな人にはα波が多く現れ、小脳扁桃が出す恐怖のメッセージに対して、反応が小さい」ことを発見しました。幸せな人々は、悪い考えに押しつぶされたり、絶えず「闘争・逃走モード」になったりせずに、より大脳の新皮質の活動が活発で、悪い考えや経験に対していつもポジティヴに反応します。 では、「幸せ」とはどんな状態でしょうか? 「幸せ」とは、心の状態を意味するだけではなく、身体の状態をも表します。そして、人間の身体はもともと幸福であるように設計されているのです。 神経物理学者キャンディス・パートは、幸せと身体とのつながりについて、「幸せなとき、人の身体と脳からは、前向きな経験をうながす化学物質――幸せの果汁――が分泌されている」と言っています。 脳の中では、毎秒10万回以上の化学反応が起こっていて、多幸感を増す「薬」がいくつも製造されているのです。 例を挙げれば、エンドルフィン(鎮痛作用があり、モルヒネの3倍の効果がある)、セロトニン(不安を鎮め、憂鬱を取り除く)、オキシトン(結びつきの気持ちを生む)ドーパミン(警戒心と喜びをうながす)などがあります。 脳内にある「薬局」は24時間営業で、好きなときにこれらの「幸せの薬」を必要な細胞に供給でき、細胞が幸せになるとあなた自身も幸せを感じるようになります。 ※ 心の病は、セロトニンがうまく出なかったり、伝達が阻害されたりして起こると考えられている。H.S 多くの研究から、脳で作られる幸せの化学物質は、日々の行動によって増やすことができることがわかっています。歌を歌う、リラックスできる音楽を聴く、ペットをなでる、マッサージをしてもらう、子供を抱きしめる、庭仕事をするといった行動は、幸せの化学物質を増やしてくれます。「ただ笑顔をつくる」ということさえ、その効果があるといいます。 ※ 茂木さんは、別の本で、「喜びや楽しいことはドーパミンを放出させ脳を若返らせる」と言っている。H.S 笑顔にはストレスホルモンの分泌を抑え、エンドルフィンなど、幸せをうながす化学物質や免疫力を高めるT細胞を生み出す効果があり、さらには筋肉を弛緩させ、痛みを和らげ、治療の速度を上げる効果も期待できるのです。笑顔の効果をさらに高めたいならば、声に出して笑うといいでしょう。笑いが最良の薬であることは、さまざまな実験によっても裏付けられています。 ※ 日本では、落語を聞いて笑うことでガン治療の効果を上げている病院や、笑いを糖尿病の治療と関係付けて研究しているところがある。 ※ 茂木さんによると、落語を聞くときに口を横に開いて笑いの表情で聞くと脳の笑いへの反応が活発になるという。(NHKプロフェショナル)H・S 幸せと健康との関係で言えば、幸せであることは、健康の秘訣と言っていいでしょう。20年以上にわたる調査から、幸福感が免疫機能を高め、病気を予防するという結果が得られています。 ● 幸せを感じている人は、平均的な人より風邪を引く割合が35%少なく、インフルエンザに対する抗体が50%も多く作られます。 ● 幸福感や楽観思考のテストで高得点をとった人は、心血管疾患、高血圧、伝染病にかかる確率が低いという結果が出ています。
● ユーモアを失わず、いつも自分を幸せだと思っている人は、そうでない人より長生きします。ガン患者では、ユーモアを忘れなかった人は、そうでない人より早期に死亡した割合が70%も少ないという調査結果があります。 つづく
「脳にいいことだけをやりなさい」
マーシー・シャイモフ著
茂木健一郎訳
三笠書房刊 1400円+税
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